はんだ付けの基礎とは?誰でも分かるはんだ付けの知識を一挙公開!
学生時代に、技術の授業や図画工作の授業を受けて「はんだ付け作業」をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
社会人になったら、全く関係のない職業に就いたり、DIY作業をしないのであれば、なかなかはんだごてを取り扱うこともありませんよね。
いざ、はんだ付け作業をしようと思っても、どんな道具を揃えるべきなのかや基礎知識の理解を深めていない人が多いのでスムーズに作業に取り掛かることができなくて困ってしまう人も多いです。
しっかりとした準備を行い、安全対策をして作業をしなければ、はんだ付け作業に取り掛かっても失敗してしまう原因になるでしょう。
今回は、はんだ付けの基礎知識情報や、はんだごての選び方などについてご紹介していきます。
はんだ付けとは?
はんだ付けとは、はんだと呼ばれる約450℃未満で溶ける物を指し、軟ろうを溶解材として金属をくっつける溶着の一種になります。
一般的に、はんだごてという道具を使用して加熱しながら、プリント基板・IC基板・電子部品などに溶着する流れになります。
直接、母材同士を結合させるわけではなく、あくまでもはんだという材料を使用して溶着するため、強度はそこまで高いわけではありません。
ですので、はんだ付けは機械的強度はあまり必要じゃない場合に用いられています。
はんだごては、電源プラグにコンセントを差し込んで、しばらくコテ先を加熱させなければいけないので熱くなったはんだごての取り扱いに十分注意しなければいけません。
もし、はんだごてを加熱させた状態で身体にコテ先が触れてしまうと、大やけどを負ったり部屋の換気が十分でなければ、はんだをプリント基板・IC基板・電子部品などに溶着した時に出る煙が部屋に充満してしまい身体に悪影響を及ぼす恐れもあるのです。
はんだ付け作業をする時には、工具・材料といった道具が必ず必要になります。
はんだごてや、ヤニ入りはんだなど熱や薬品に関する部分があるので、最大限の安全対策・衛生管理をする必要があるのです。
はんだ付けの基礎や役割について知っておこう
はんだ付け作業をすることは、電子部品・電子回路を接合することになるので、はんだ付けをした後に電気が通電する必要があります。
電子機器・電化製品などを動かすためには、電子回路図に描かれた基板が必要になります。
そして、基板に描かれた電子回路は電子部品を接着しなければ動くことはありません。
電気部品には、電気を制御する色々な種類があり、年々、複雑化するハードウェア製品は電子回路も複雑になっています。
それらの製品の機能を活かす為には、たくさんの電子部品が必要になるのですね。
はんだ付けとは、この電子回路に電子部品を溶着して電気を通電させる役割があります。
当たり前ですが、普通の接着剤を使用してプリント基板・IC基板・電子部品などをくっつけても、電気を通すことができないので電気を通電させて使用したい場合は機能しないでしょう。
ですので、電子部品と電子回路をしっかりと溶着して電気を正しく通電させるために、はんだが使用されるわけなんです。
かといって、はんだ付け作業において複雑な手順をマスターしたり、手に入りにくい道具・材料などを揃えなければいけないわけではありません。
はんだ付けで主役級の活躍をするフラックスについて
はんだ付け作業をするには、材料のはんだは絶対に必要になってきます。
はんだごてで加熱されたはんだは、「ぬれ現象」によってプリント基板・IC基板・電子部品などに拡がりますが、母材表面が汚れていたり酸化膜が張っていたりするとうまく、はんだを溶着することができません。
また、はんだを加熱させるので、加熱中に酸化膜が発生してしまうこともあります。
それを防ぐ為には、「フラックス」という酸化除去剤兼酸化防止剤が含まれていることが多いです。
はんだに含まれた、フラックスの効果で十分に酸化防止・除去することが重要です。
フラックスを塗布する量が少なすぎると、酸化を防いだり除去することができませんから、フラックスの量にも気を配る必要があります。
基本的に、フラックスの役割として「錆止め作用・表面張力を抑える作用・溶着表面の清浄化作用」などがあります。
フラックスの主成分は、酸で塩酸などのように強力な酸性でプリント基板・IC基板・電子部品などの母材を腐食させる可能性のあるもから、洗浄が必要にならない非腐食性のものまで色々とあります。
はんだ付け作業をするうえでフラックスは主役級の活躍をするくらい大切なものです。
種類も「電気用フラックス・金属用フラックス・ステンレス用フラックス・金属用フラックス」など色々あります。
はんだごての選びかたについて
はんだ付け作業する際に、「はんだごて」も種類があるのでプリント基板・IC基板・電子部品などの溶着に適切なものを選ぶ必要があります。
主に以下で紹介する「セラミックヒータータイプ・ニクロムヒータータイプ」があります。
セラミックヒーター
はんだごての「セラミックヒーター」は、タングステンで製造されたヒーターをセラミックで包、こて先を内側から加熱させる道具です。
絶縁性に優れており、IC基板やデリケートな電気部品などのはんだ付け作業に最適になっています。
セラミックヒータータイプは、ニクロムヒーターと比較すると、手で握る部分からコテ先までの長さが短いのが特徴です。
ですので、鉛筆を持つような感覚ではんだ付け作業ができるでしょう。
また、こて先がはんだ付けできる温度に達するのが、早いというメリットがあります。
ニクロムヒーター
はんだごての「ニクロムヒーター」は、こて先にニクロム線を巻いて外側から加熱させるものです。
つまり、セラミックヒータータイプはこて先を内側から加熱させますが、ニクロムヒータータイプではこて先を外側から加熱させるという違いがあります。
ニクロムヒータータイプは、セラミックヒータータイプよりも熱容量があるため、金属の溶着に最適です。
また、値段(価格)も安価なものが多いので、はんだ付け作業の初心者の方や家庭でとりあえず使用したい方にはおすすめです。
ただし、ニクロムヒータータイプは、こて先がはんだ付け可能な温度に達するのが、セラミックヒータータイプに比べてやや遅いです。
はんだごてのこて先を加熱させる目安としては、5分間以上まつことで、はんだづけが可能になるでしょう。
はんだ付けできるものとできないものがある
はんだ付け作業をする時に、材料のはんだを使用すればどんな部品や材料もはんだ付けできるというわけではありません。
「アルミ・チタン」などの成分のものは、はんだ付けに向いていないのです。
アルミやチタンははんだ付けできない
アルミ・チタンなどの材料は、綺麗にはんだ付けできませんし、かりに溶着することができても接合強度が弱くなってしまいます。
特殊な専用のはんだを用いれば、絶対にはんだ付けができないわけではありません。
ですが、できるかぎりアルミ・チタンなどの成分が使用されている電子部品・電子回路のもははんだ付けはオススメしません。
はんだ付け基礎のまとめ
はんだ付けの基礎知識として、材料のはんだ(約450℃未満で溶ける物)を使用して、軟ろうを溶解材としてプリント基板・IC基板・電子部品などを溶着させます。
はんだごてには、「ニクロムヒーター・セラミックヒーター」などの種類があります。
はんだは、加熱させてはんだを溶かしながら電子回路・電子部品に溶着させるので、加熱中に酸化膜が発生することがあります。
それを防ぐのに、フラックスという酸化除去剤兼酸化防止剤が含まれているものが多いので、フラックスの役割も重要になってきます。